今回は湊かなえさんの“リバース”について書きたいと思います
小説を何冊か読み進めていると、途中で読むことに飽きちゃうことはないでしょうか
個人的に今回読んだリバースもそういった本の1つでした
そのため、しばらく読み終わらなかったのですが、最後まで読み進めると良い意味で裏切られました
湊かなえさんの小説は何冊か読んだことがあるのですが、基本的に最後の最後で読者の想像を上回る展開が待っているように思います
結末が容易に想像できる物語は、個人的に物足りないんですよね
その点、湊かなえさんの小説は絶対最後は予想出来きません
というわけで、内容や感想を書いていきたいと思います
内容
「深瀬和久は人殺しだ」
小説はその一言から始まります
主人公は深瀬和久、普通のサラリーマンです
深瀬には人生で後ろめたいことがないとは言えませんでした
深瀬は大学4年生の時に友人の1人村井の別荘に泊まることになったが、別荘の持ち主である村井は当日追突事故に遭ってしまったため、その他の4人の友人とともに別荘に行くことになりました
車で道幅の狭い通路を進み、無事別荘にたどり着きました
別荘で過ごしていた4人の元に、来ないはずの村井から電話がかかりました
サプライズで来たけれど人通りが少なくタクシーが捕まらないため迎えに来て欲しいと言われます
しかし、運転免許を持っている2人は酒を飲んでしまっているため迎えに行くことが出来ないことを村井に伝えますが、険悪な空気に包まれます
そんな中、広沢が悪路の中車で迎えに行くことになったのですが、深瀬はそれを止めることが出来ませんでした
そして結果として広沢は、迎えに行った際に道を外れ崖に転落し、命を落とすことになります
深瀬とその友人達は、広沢がアルコールを摂っていたことを黙っていることにしました
それが深瀬の、深瀬の友人達の秘密でした
しかし、深瀬は最後に信じられないことに気づきます
最後の主人公の気づきとは
最後の最後で深瀬が気づいたこと、それは広沢の死の本当の原因についてです
普通の小説の場合は、深瀬の後ろめたさは広沢にアルコールを飲ませていたことを黙っていたことでした
で終わるかと思いますよね
自分も読んでいてそうだと思っていました
しかし、容易に終わらせないのが湊かなえさんです
最後の1文にはこう書かれています
広沢を殺したのは……。
俺だったのか。
リバース 湊かなえ
感想
最後の文章を読んだ後に、小説を読み返すと伏線があったことに気づきました
これは是非、実際に読んでみていただければと思います
別荘に向かっている場面、広沢の死後に色々な人と話した内容等、様々な所に何気ないヒントをいくつかちりばめられていました
そのことに気づいた時、最後の分を読むまでその箇所に気づかせない湊かなえさんの文章の技術には感嘆しかありません
しかし、主人公はむしろ広沢と仲が良かったため、この結末は結構残酷で思い切ったなと思いました
こういった書き方が出来るのは、湊かなえさん以外にいるのでしょうか
それでは読んでいただき、ありがとうございました
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