学生の頃から、森絵都さんの本は特にお気に入りでした
学生時代に1番好きな本は、森絵都さんのカラフルです
今回は、森絵都さんの“カラフル”のあらすじ、場面展開、感想を述べていきます
あらすじ
ある理由で亡くなった魂の1つである主人公は、天使に運良く抽選に当たったことを告げられ、輪廻転生の機会を与えられます
転生なんてしたくもない主人公でしたが、神様の決定に拒否権はなく、ある自殺した人の身体に、自身の魂が代わりに入ることだけ伝えられました
(ここだけ見ると、異世界に行きそうですが、そういう話ではないです)
目を覚ますと、主人公は中学3年生の男の子の身体に入っていました
そして主人公は、この身体の男の子に代わって生活をする、いわゆるホームステイをしていくことになります
このホームステイ中の主人公の行動によって、自身の魂は転生することができるのか、それとも消滅するのかが決まります
こうして、主人公のホームステイが始まりました
と、あらすじはこのような感じです
天使や神様、魂、輪廻転生といった言葉が出てきますが、ファンタジー要素はそれくらいです
男の子(主人公)は日本に住んでおり、多感な時期で、高校受験を控えています
この小説には、家族との関係、考え方の持ちよう、話し合うことの大切さ等々、共感することや、自身在り方への学びがあるかと思います
場面展開
主人公は男の子の代わりに生活していくことで、男の子は自身が思っていたよりも家族に愛されていたこと、すれ違いがあり、話し合うことが必要だったことが分かりました
主人公はこの男の子に身体を返してあげたい
そして自身の誤解を解いて、この人生を再度歩んでほしいと、強く思いました
そんな思いのなか、最後に天使は主人公に、自身の記憶を思い出せ、という課題と、1日だけの時間を与えました
と、このように話は進んでいきます
すべてがハッピーエンドとはいかないのが人生ですが、すれ違いや勘違いは誰にでもあるのではないのでしょうか
まして、この男の子は、子どもと大人の中間である年代です
自己中心的な考えに陥ってしまったり、生きづらい環境に悩み、ささいなことや他人との違いに傷ついたり
しかし、それは自身もそうではなかったでしょうか
もしかしたら、今でもそうかもしれません
ちょうど学生時代に読んだ本ですが、今でも大事にしているほど、大切なことが書かれていると思っています
感想
主人公は、自分の記憶を思い出すべく、天使の「ヒントはいたるところにある」という言葉をたよりに、周りを観察することにしました
そして、
自分は、この身体の男の子自身だ。ということに気づきました
そして、そのことに気づかせることが天使の狙いだったのです
しかし主人公は不安を覚えます
他人事だったから良かったが、自分自身のことになると、今までのように振る舞えなくなるのではないか、また以前の自分のようになってしまうのではないか
それに対し天使は、今まで通りホームステイだと思えばいい
長めのホームステイだ。と主人公に伝えます
そして、主人公は天使に別れを告げ、自らの人生を再び歩み始めます
こうして、この話は終わりを迎えます
他の人の相談をうけている時は、客観的にものを言えるのに、自分のこととなると途端に視野が狭くなったりしませんか
主観的に捉えがちにならないためには、こういった視点も良いのではないかと、読者に問いかけているように思いました
仕事でもプライベートでも、客観的な視点が必要な時があります
小説を通して、こういった気づきに結びつくことが少なくありません
娯楽にもなり、学びにもなる小説は一石何鳥になるのでしょうか
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